財務分析の基本 ローカルベンチマーク6つの財務指標

今日は財務分析の基本ローカルベンチマーク、通称「ロカベン」について書こうと思います。

 

ローカルベンチマークとは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールのことで「事業性評価」の入り口としての活用が期待されるものです。

 

「事業性評価」というのは、銀行が担保や保証に必要以上に依存することなく取引先企業の事業内容や成長可能性などを評価して行う融資のことです。

 

その事業性評価を行うためのツールとして活用されるロカベンの6つの指標は以下の通り。

①売上高増加率(売上持続性)

②営業利益率(収益性)

労働生産性(生産性)

④EBITDA有利子負債倍率(健全性)

⑤営業運転資本回転期間(効率性)

自己資本比率(安全性)

 

①②⑥は解説しなくても大丈夫かと思います。

労働生産性は =営業利益 / 従業員数

で企業の成長性や競争力等を評価できます。

 

④EBITDA有利子負債倍率が一番難しいと思います。

これは =純負債 / EBITDA であらわされ、

純負債は借入金-現預金

EBITDAというのは営業利益+減価償却 のことです。

んで、営業利益+減価償却費が何を表してるの?ってなると思うんですが、

これは本業で稼いだ利益を表す営業利益に、ノンキャッシュ費用(会計上費用だけれどもキャッシュがでていくわけではない)である減価償却費をプラスすることで本業で稼いだキャッシュフローを表しているのです。

いわゆる営業キャッシュフローというやつですね。

そんで、純負債をEBITDAで割って何が分かんの?ってなるんですが、

これ分子(=純負債=残りの借入金残高)が小さく分母(=EBITDA=営業キャッシュフロー)が大きいほうが健全な企業というふうになると思いませんか。

借入金が少なくて本業でたくさんお金を稼いでいるということですから。

逆に分子が大きく分母が小さい企業は最悪です。

借入金が多くて本業では稼げてないということですから、不健全な会社ですね。

つまり、EBITDA有利子負債倍率が小さいほど返済能力があり財務的に健全な会社ということです。

 

最後に⑤営業運転資本回転期間(効率性)ですが、これは

=(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商 であらわされます。

これはちょっと理解するのが難しいので、一個ずつ分解していきましょう。

売上債権とは受取手形売掛金棚卸資産は商品や製品、原材料等のこと、

買入債務とは支払手形+買掛金、月商は年間売上高 / 12か月 です。

この営業運転資本回転期間というのは値が小さいほうがいいんですが、

まずは値が極端に大きいケースをイメージしてみましょう。

値が大きいということは分子の計算結果が大きく、分母が小さいということですね。

分子の計算結果が大きいということは、売上債権がたくさん残っていて(=滞留債権があったり、回収が遅い、入金までが遅い)、在庫もたくさんあって(滞留在庫、不良在庫)、買入債務はすぐに支払わないといけない。という状況。

分母の月商が少ないということは売上が落ちているということ。

まさに最悪の状態ですね。これではお金は回りません。

逆に値が小さいケースをイメージしましょう。

売上債権はすぐに現金化できていて、在庫もすぐにはけ、買入債務は取引先からの信用もあり支払いサイトを長くしてもらっている。売上も伸びている。という状況です。

これだと資金繰りに困ることもない、優良企業ですよね。

ただ通常は月商が増えたら売上債権や棚卸資産、買入債務が増えますし、月商が減ったら売上債権や棚卸資産、買入債務が減りますから、実際にはこのような極端なケースは考えにくいです。

が、もしそうなっていない場合は売上債権や棚卸資産の滞留、取引先からの信用不安による買入債務の急激な減少などをこの指標によって察知することができます。

 

長くなりましたが、以上です!

以下に参考URLはっておきます。また、ロカベンは経産省HPよりエクセルファイルをダウンロードできますので、財務分析に活用してみましょう!

経済産業省 ローカルベンチマーク

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

小松会計事務所 会社も健康診断!ロカベンを試してみませんか?

https://mk-accounting.jp/locaben/

サウジアラムコとかいう会社

世界時価総額ランキング1位の会社がアップルなのは言うまでもないかと思いますが、2位の会社に「サウジアラムコ」という会社があります。

 

アマゾンやマイクロソフトを抜いて2位のサウジアラムコ時価総額

なんと1兆7,590億ドル!!!(2020年7月末時点)

 

この会社、名前の通りサウジアラビアの会社で、世界の原油生産量の10%を占めるサウジアラビア原油採掘権を独占しています。

 

上場したのは結構最近で2019年の12月のこと。その時の時価総額は1兆8,770億ドルでアップルを上回る上場会社でした。

 

しかし、上場したのはあくまでサウジ国内のため日本の個人投資家は売買不可。

しかも株式の98.5%はサウジ政府が所有。

 

この会社、ものすごい収益力と配当なのに買えないのは残念。

ただ実質国有企業となると企業統治に課題ありですね…

 

以下、参考URLです。

世界時価総額ランキング

http://buffettbu.jp/blog-entry-111.html

アラムコ上場、初値は公開価格上回る 時価総額最大に(日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53218880R11C19A2EA2000/